サステナビリティ方針~多様な社会への貢献~
運用物件が社会へ与える影響を考慮し、多様な社会の実現に貢献します。テナントや地域コミュニティの安全・安心、健康と快適性、多様性の確保等に努めます。
環境や社会に配慮した不動産の提供
基本的な考え方
当社は「環境や社会に配慮した不動産の提供」をマテリアリティの一つとして認識しており、多様な物件への投資運用を通じて社会全体の環境負荷の軽減や利便性の向上等に貢献しています。
REITを通じた多様な物件への投資
当社がメインスポンサーとして運用に関わる4つのREITは、いずれも特定の用途に特化した投資運用を行っています。各用途の特性に沿った専門的な運用により、透明性の高いアセットマネジメントを実現しています。
REITは長期間にわたる不動産の保有運用を前提としていることから、それぞれのREITが環境や社会に配慮した中長期的な投資運用を行うことで、まちの賑わい創出や生活利便性の向上、快適な職場環境、安心して暮らすことのできる住まいの提供といった様々な側面で環境や社会に貢献しています。
投資法人名 | 主な投資対象 |
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ケネディクス・オフィス投資法人 | 経済活動が高密度に集積し、高いテナント需要と厚みのあるストックがある東京経済圏の「中規模オフィスビル」 |
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 | 人が居住、滞在する空間である「居住用施設」及び「ヘルスケア施設」 |
ケネディクス商業リート投資法人 | 日常生活に必要な商品・サービスを提供し、住宅地又はロードサイド等、日常生活圏に立地している「生活密着型商業施設」及び「消費地配送型物流施設」 |
ケネディクス・プライベート投資法人 | 東京経済圏に所在する「オフィスビル」を中心に投資し、地域偏在リスクの軽減を目的として、東京経済圏以外に所在する不動産等にも一定の分散投資 |
複合用途物件への投資運用
当社は、運用ファンド等を通じて大規模な複合用途物件への投資運用も行っています。また、各投資法人は、「低層階に商業テナントを配したオフィスビルや賃貸住宅、ホテル等」「商業テナントや医療モール、有料老人ホーム等が集積する駅直結の物件」といった大規模な複合用途物件への投資運用も行っています。公開空地の活用や様々な用途の提供により、テナント様やご入居者様のみならず地域コミュニティの皆様にも貢献しています。
KDX調布ビルにおいては、オフィス棟をケネディクス・オフィス投資法人が、商業棟をケネディクス商業リート投資法人がそれぞれ取得運用しており、グループ内上場投資法人による初の複合型アセットの共同取得を行っています。
中小企業向けの賃貸
ケネディクス・オフィス投資法人が保有する物件のうち中規模オフィスビルは、89棟と約91%(取得価格ベースで約85%)を占め、中堅・中小企業による利用が多くを占めていると捉えられている200坪未満のテナント比率は87.8%に上ります。ケネディクス・オフィス投資法人及び資産運用会社は、日本経済の基盤である中堅・中小企業への快適なオフィスビル環境の提供を通じて、日本経済の発展にも貢献していきたいと考えています。(比率は2022年10月31日時点)
賃貸面積別分散状況(注)

従業員規模別事業所数(東京都)(出所)

- (注)賃貸面積別分散状況は、2022年10月31日時点の各オフィスビルに入居するテナント数で各比率を算出しています。複数物件に入居しているテナントについては名寄せをせずに、物件ごとに1テナントとして算出しています。
- (出所)「総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査」の東京都独自集計」を基にケネディクス不動産投資顧問株式会社が作成
既存物件への柔軟かつ機動的な対応
当社は、不動産マーケットから取得した竣工済物件について、不動産証券化の黎明期より培ったノウハウによりこれら不動産のポテンシャルを見極め、トレンドを捉えタイミングを逃さない柔軟かつ機動的な対応を行うことで、不動産の持つ可能性を最大限に顕在化しています。
Topics:KDX飯田橋ビル TrunKey Officeプロジェクト
多様化するオフィスニーズに対する取組みとして、ケネディクス・オフィス投資法人の運用するKDX飯田橋ビルにおいて、ABW(Activity Based Working)の考えを取り入れたレイアウト・内装、オフィス什器をセットアップして賃貸し、契約後速やかに業務を開始することができる空間(TurnKey Office)を企画。本取組みによりノウハウを獲得し、潜在的なニーズが確認できる他の保有物件への展開も検討しています。

Topics:KDXレジデンス鶴見
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人の運用するKDXレジデンス鶴見について、入居者が退去したタイミングで適宜室内のリニューアル工事を実施。築30年以上経過しているものの、優良なファミリー向け賃貸物件は希少価値が高く、部屋タイプや水回りを刷新することで賃料単価の上昇を図ったうえでの速やかな新規契約締結を実現しています。

Topics:商業施設と物流施設の垣根の低下
ケネディクス商業リート投資法人の運用する商業施設と物流施設においては、Eコマース進展に伴いアセットタイプの垣根が低下しています。ケネディクス商業リート投資法人の運用するポートフォリオにおいては、従来の枠組みにとらわれることなく、「商業施設からの商品配送」「商業施設での商品受取」「物流施設と商業施設の併設」「商業施設の敷地の一部を宅配業者へ賃貸」といった様々な取組みが行われています。

Topics:キテラプラザ青葉台 コンバージョンプロジェクト
ケネディクス商業リート投資法人は、キテラプラザ青葉台の取得にあたり、コンバージョンを前提とした物件取得を行うことで、他の競合先と差別化された取得力を発揮しました。本プロジェクトはケネディクスグループのテナントネットワークを活用し、コロナ禍の影響を受けていたスポーツクラブをコロナ耐性及びEコマース耐性の高い生活密着型商業施設にコンバージョンするというもので、J-REITとして先進的な取組みとなりました。なお、施工会社である株式会社淺沼組は、『ReQuality』というコンセプトのもとリニューアル事業に取り組まれています。

都市再生型開発案件への取組み
当社は、不動産関連投資の一環として、開発ファンド等を通じて都市再生型開発案件に取り組んでいます。
環境不動産普及促進機構との協働
東京都港区六本木におけるホテル再開発プロジェクトに取り組み、都市型ホテルの開発とともに運用を受託しています。本プロジェクトは、耐震・環境性能を有する良質な不動産の形成促進を行う環境不動産普及促進機構(Re-Seed機構)との協働案件であり、高い環境性能を有する良質な不動産への建替えを行う都市再生型開発案件となりました。また、当社は不動産特定共同事業者としての許可を取得しており、不動産特定共同事業の特例事業のスキームによる開発案件としても先進的な取組みとなりました。

建物建替えにおける地下躯体の再利用
東京都千代田区における新生銀行旧本店ビル跡地再開発プロジェクトや東京都港区六本木及び東京都中央区銀座におけるホテル再開発プロジェクト等においては、既存建物の地下躯体を解体・撤去した際に生じる廃棄物や廃棄コスト等を総合的に勘案し、安全性等を確認したうえで既存建物の地下躯体を再利用しています。

マンション敷地売却制度と不動産証券化を活用した老朽化マンションの再開発
今後、老朽化や管理組合の担い手不足が顕著な高経年マンションが急増することが見込まれており、老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題とされています。
このような中、当社はマンション建替え等の円滑化に関する法律に基づく「マンション敷地売却制度」と不動産証券化スキームを活用し、築50年が経過した吉祥寺駅前の旧耐震基準マンションを解体したうえでオフィスビル開発を行っています。本プロジェクトは、既存建物の区分買収にあたり、証券化スキームを活用しファンドを組成した国内初の取組みとなります。本プロジェクトを対象としたノンリコースローンを調達し費用の課題を解決するとともに、優良な投資家を招聘することで本プロジェクトを実現しました。

既存物件の敷地内増築
ケネディクス商業リート投資法人は、ロゼオ水戸においてリサイクルショップ棟を、ウニクス伊奈において飲食店棟(2棟)を、横浜上郷配送センターにおいて飲食店棟及び休憩室棟をそれぞれ増築しています。都市再開発を通じて物件の価値向上に努めています。

前橋版生涯活躍のまち(CCRC)事業物件への投資
CCRC(Continuing Care Retirement Community)とはもともと米国で発祥した概念ですが、日本でも生活の中で健康寿命を延ばすとともに、地方創生としての環境整備を目指すものとして「日本版CCRC」が考案されました。群馬県前橋市では、「市民誰もが、住み慣れた場所で、生きがいを持って、生涯活躍できるまち」の実現を目指し、前橋版CCRC(生涯活躍のまち)事業を推進しています。
ケネディクス・プライベート投資法人が保有する「KENEDIXココルンプラザ」は、前橋版CCRC事業の先駆的モデルとして2022年4月にオープンした「ココルンシティまえばし」のエリア内に所在する商業施設です。同エリア内には、多世代型集合住宅や介護付き有料老人ホーム、認定こども園、公園に併設されたベーカリーカフェ&コミュニティスペース等が整備されています。
「ココルンシティまえばし」では、周辺エリアの魅力向上を目的に活動する団体として2022年1月に「ココルンサークルまえばし」が組成されており、ケネディクス・プライベート投資法人は、同サークルを通じて本商業施設のテナント及びその他のサークル会員と協力しながら、多様な人々と世代によるコミュニティの醸成を図ることで、地域の魅力向上及び関係人口創出に向けた取組みを進めています。

ソーシャルファイナンス
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は、社会貢献度の高い資金使途に限定して調達される債券(ソーシャルボンド)の発行や借入れ(ソーシャルローン)を通じて、サステナビリティへの取組みを一層強化すると共に、ESG 投融資に積極的な投資家層への投資機会の提供及び金融機関との協業により、国内ソーシャルファイナンス市場の発展に寄与することを目指しています。2019年12月には、J-REITとして初めて総額20億円のソーシャルボンドを発行しています。
ソーシャルボンドとは?
ソーシャルボンドとは、調達資金の全てが、新規又は既存の適格なソーシャルプロジェクトの一部又は全部の初期投資又はリファイナンスのみに充当され、かつ、ソーシャルボンド原則の4つの核(1:調達資金の使途、2:プロジェクトの評価と選定のプロセス、3:調達資金の管理、4:レポーティング)となる要素に適合している債券のことをいいます。
不動産クラウドファンディングによる投資機会の提供
当社は、これまで一部の機関投資家様に限られていた非上場の不動産投資ファンドへの投資機会をより多くの皆様に提供できるよう、不動産クラウドファンディング事業「bitREALTY」を2019年1月より展開しています。インターネットを介して多様な不動産投資ファンドへご投資頂くことができる新時代のサービスを提供しており、これまでにホテルや賃貸住宅、物流施設、ヘルスケア施設、保育施設、商業施設を対象とするファンドを組成し、累計約63億円の募集を完了しています。

不動産セキュリティ・トークンによる投資機会の提供
当社は、2021年8月に⽇本で初めて、デジタル証券を発⾏して資⾦調達を⾏う不動産セキュリティ・トークン・オファリングを実⾏しました。不動産の特性である「分かりやすさ」・「安定性」と金融の効用である「小口化」・「売買流動性」を併せ持つ不動産セキュリティ・トークンは、証券会社の口座を介して投資できる利便性に優れた不動産投資手法であり、幅広い投資家層の多様な投資ニーズに応え得る新たな投資商品と考えております。
また、その第三弾として 2022 年 8 ⽉に実施した、資産規模 146 億円の物流施設を裏付け資産とし、発⾏価格の総額が 約70 億円となる⽇本最⼤の不動産 STOによる資⾦調達では、TADS アワード 2022 において資産担保型トークン分野でのアワードを受賞しました。


レジリエンス(災害等への適応力)の向上
基本的な考え方
当社は「レジリエンス(災害等への適応力)の向上」をマテリアリティの一つとして認識しており、当社の運用物件において、テナント様、ご入居者様や地域コミュニティの皆様が安全・安心に過ごすことができるよう様々な施策を実施しています。
非常災害等に備えた取組み
防災用品の設置
一部の運用物件において、防災用品を設置しています。
ケネディクス・オフィス投資法人の運用するオフィスビルでは、非常災害時や停電・故障によるエレベーターの緊急停止時等に備えて、エレベーター内に非常用品収納ボックスを設置しています。
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人の運用する賃貸住宅では、管理人室等の共有スペースにご入居者様向けの非常持出用防災セット(非常食、非常用飲料水等)を設置しています。
ケネディクス商業リート投資法人の運用する商業施設では、非常災害時に従業員向けの防災用品を設置しています。

Wi-Fi電波の無料開放
ケネディクス・オフィス投資法人は、事業継続性を意識し、災害時のインターネット環境を整備する目的で、一部の運用物件に「光ステーション」Wi-Fiルーターを設置しています。
災害発生時にはWi-Fiを無料開放し、テナント様の事業継続性をサポートします。また、平時も入居テナント様や来訪者様向けに一定時間無料で開放しています。

災害救援自販機の設置
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は、一部の賃貸住宅において災害救援自販機やSDGs推進自販機を設置しています。
災害等で停電になった際には、自販機内の商品を救援飲料として無料提供することが可能です。

災害時対応マニュアルハンドブックの配布
ケネディクス・オフィス投資法人は、大地震発生などの緊急時に備えて、持ち歩き可能なポケットサイズの災害時対応マニュアルハンドブックを作成しテナント様に配布しています。
大地震発生時の対応や応急救護の手順、AEDの使い方など緊急時に役立つ様々な情報をまとめて掲載しています。
ケネディクス商業リート投資法人は、大地震発生などの緊急時に備えて、一部物件において、緊急時ハンドブックを作成しテナント様に配布しています。
大地震・台風・大雨時の対応など緊急時に役立つ様々な情報を15頁にまとめて掲載しています。

入居者へのサステナブルガイドの配布
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は、ご入居者様が快適、安心、安全にお住まい頂けるよう、省エネ、ゴミの分別、防災の準備への取組みを記載したサステナブルガイドをご入居者様に配布しています。

AEDの設置
一部の運用物件において、AED(自動体外式除細動器)を設置しています。
ケネディクス・オフィス投資法人の運用するオフィスビル及びケネディクス商業リート投資法人の運用する商業施設では、AEDステッカーの掲示や行政マップ等への登録を行うことにより、テナント様だけではなく、ご来訪者様や地域コミュニティの皆様にもご利用いただけるようになっています。

耐震性能の確認
当社が投資運用する物件については、物件取得等にあたりエンジニアリング・レポート(建築物、設備等及び環境の専門的知識を有する者が行った不動産の状況に関する調査報告書)を取得し、物件の耐震性能を確認しています。耐震基準を満たしていないことが判明した物件については、原則として耐震補強工事等を実施したうえで物件取得を行います。
また、物件の取得時には、地震PML(Probable Maximum Loss)に係るレポートも取得し、地震による予想最大損失額のリスクを確認しています。
少子高齢化社会への対応
基本的な考え方
日本の総人口は2008年をピークに減少傾向に転じ、今後は更なる人口減少と少子高齢化の進展が見込まれています。日本は既に超高齢化社会に突入しており、ヘルスケア施設の不足は社会的課題であると認識しています。また一方で、女性の社会進出や保育士不足等に伴う都市部の待機児童問題も社会的課題であると認識しています。
当社は「少子高齢化社会への対応」をマテリアリティの一つとして認識しており、ヘルスケア施設や保育施設が併設された居住用施設、ヘルスケア施設への投資運用等を通じて少子高齢化社会への対応に取り組んでいます。
ヘルスケア施設の運用
ケネディクス・レジンデンシャル・ネクスト投資法人は、今後ますます社会的ニーズの高まるヘルスケア施設の運用を行っており、今後も継続的にヘルスケア施設を取得していくことで、ヘルスケア施設の買い手及び運用主体としての社会的ニーズにこたえることを目指しています。
ヘルスケア施設の取得にあたっては、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のみならず、J-REIT初の介護老人保健施設の取得を行う等、積極的な取組みを行っています。
ケネディクス・レジンデンシャル・ネクスト投資法人はオペレーターの経営理念や事業運営状況・施設運営状況等を、オペレーターはケネディクス・レジンデンシャル・ネクスト投資法人の投資理念や経営方針等を相互に理解し、家主とテナントの関係の域を超えたビジネスパートナーとしての信頼関係を構築し、オペレーターが抱える事業運営、施設運営に関する課題やニーズに対して最適なソリューションを提供することにより、共に成長を目指します。

保育施設の運用
ケネディクス・レジンデンシャル・ネクスト投資法人は、2019年9月に運用ガイドラインを変更し、新たに保育施設を投資対象へ加えています。資産を長期間にわたり運用する上場REITが保育施設に投資を行うことは、保育施設の将来的な供給促進にもつながり得るものであり、社会的な意義も大きいと考えています。
バリアフリー対応
オフィスビルや商業施設等においては、誰もがストレスなく施設を利用できるようバリアフリー対応を実施しています。
関連データ
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
---|---|---|---|---|
当社グループREITに おけるヘルスケア 施設の運用物件数 |
24 | 24 | 28 | 37 |
当社グループREITに おけるヘルスケア 施設のAUM(百万円) |
54,128 | 54,128 | 61,610 | 73,381 |